忍者ブログ
Login

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。



|

極楽とんぼ

極楽とんぼについて。


極楽とんぼとは、「のんびりと思い悩まずに暮らしている者をからかっていう語。のんき者。気楽者。」ということらしい。

で、なぜ「極楽とんぼ」なのかを考えてみる。


極楽とんぼは、極楽+とんぼの2語からなっている。まずはそれぞれの意味について。


極楽は、安楽で何の心配もない場所や境遇のこと。
これはこの通りだろう。

で、とんぼ。
とんぼには…別の意味があるかと思ったが、昆虫の「蜻蛉」らしい。
このとんぼがなぜ「極楽」と並んで使われているのかを調べていく。


とんぼといって日本人が思い浮かべるのは、まず間違いなく赤とんぼ(アキアカネ)。「夕焼け小焼けの~♪」でなじみのある、例のとんぼである。
よって、極楽とんぼの「とんぼ」は赤とんぼだとして話を進める。

まずは現在の赤とんぼを考える。
『上空を優雅に舞うように飛ぶ姿から、(極楽とんぼに)とんぼが使われる』、としているものを見かけた。これはいつの時代の「赤とんぼ」の印象だろう?

現在の赤とんぼは、のんびりと、というよりは「寂しさ」を感じる生き物である。
というのは、三木露風(1889 - 1964)の「赤とんぼ」に歌われているためである。この赤とんぼから「のんびり」は考えにくく、「寂しさ、郷愁」という印象の方が強い。

ということで、三木露風の「赤とんぼ」が登場する前の「赤とんぼ」の印象、主に歌われ方・詠まれ方から探ることとする。
昔の人が感情を表す方法として利用した歌 (俳句・短歌)から探すのが適切だろうと考えたためである。

では、昔の人は赤とんぼに対してどのようなイメージを持っていたのか。

万葉集の時代では、収穫の季節に飛び回る赤とんぼ(とんぼは「あきづ」とよばれていた)は、田の神の使いとして考えられていたらしい。
どうも「のんびり」ではない。しかも、「とんぼ」でもない。

ちなみに、万葉集から調べたのは、仏教が伝来した時期が6世紀のため。
これ以前に「極楽」という概念は(おそらく)無いだろう。

ということで残念ながら、「極楽とんぼ」はこの時代に生まれた言葉ではないようだ。まあしかし、万葉集を調べることで、とんぼは昔「あきづ」と呼ばれていることが分かった。
では、とんぼを「とんぼ」と言うようになったのはいつからなのか。

…よく分からない。
平安時代以降という記述は見かけた。だが100%正しいといえる文献は発見できなかった。
とりあえず、平安以降という記述を信じ、探っていく。

再び歌から探ることにする。

ところが、平安時代になると、とんばはほとんど詠まれなくなったらしい。
…仕方ないので、時代を進めよう。

戦国時代。
「戦国時代には[とんぼは]兜や鎧、箙(えびら)刀の鍔(つば)などの武具、陣羽織や印籠の装飾に用いられた。トンボを勝ち虫とする由来は雄略天皇が狩に出かけた際に詠んだ歌が元になっている。素早く飛び回り害虫を捕食し、前進するのみで後退しない攻撃的な姿からともいわれる。」とwikidepia。
残念ながら「のんびりと」には当てはまりそうにない。

さらに時代を進める。

上記日国.NETの記述にあるように、松尾芭蕉が活躍した江戸時代前期で探る。

で、芭蕉が詠んだとんぼの歌は、『蜻蛉(とんぼう)やとりつきかねし草(くさ)の上(うへ)』
とんぼが草に取り付きかねている、つまり、なかなか止まれないでいる様子を詠んでいる。
う~む、ちょっと違う。

さらに探していくと、とんぼを詠んだ歌を集めたページを発見。
そこに、『釣下手の竿に来て寝る蜻蛉かな』(横井也有、1702 - 1702)という歌があった。
おお、これはかなり「極楽とんぼ」に近い。
また、『蜻蛉や何を忘れて元の杭』(正岡子規、1867 - 1902)という歌もあった。

という(赤)とんぼのイメージからして、「極楽とんぼ」江戸~明治くらいにかけて生まれた言葉…なのか。
はっきりしたことが分からなかったのは残念だけど。


ちなみに、個人的に良く頼りにする相原コージ先生に捧ぐでは、『「とんぼ」は、「鈍坊(どんぼう)」からの転で、愚鈍な倅(せがれ)の意味か。或いは、蜻蛉のように気楽で何もしない人からか。』とあった。
…調べた結果から考えると、「昆虫のとんぼ説」より「鈍坊説」の方が説得力があるなぁ。

さらにちなみに、個人的には、シティーハンターでカラスと並んで使われているとんぼが、一番極楽とんぼの「とんぼ」のイメージに近いと思ったり。
PR

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

この記事に対するトラックバック

トラックバックURL